「送信・・・っと」 わぁわぁ、送っちゃった〜!! 何だかドキドキしちゃう!! はじめてのメール。 す、好きな人にメール・・・って、きゃ〜恥ずかし〜!! 連休4日目の夜。 私は未だ東雲家にお世話になっております。 ゆうきちゃんとのぞむくんと遊んだり、空さんと皇さんに遊ばれたり〜であっという間に時が流れていきまして。 浦島太郎ってこんな調子で竜宮城に滞在してたんだと思うな、絶対。 お父さんの知り合いの学校・・・っていうので東雲を選んだからもしかして、って思ったんだけど、お父さんの知り合いって皇さんだったみたい。 お父さんって交友関係狭そうで案外広いのね。 そして、世界って広いようで案外狭いのね・・・ 「メール?」 「あ、はい、創司くんに。患者さんの事すごく心配してたから、どうしたかなと思って。ここでの話はすごく長くなりそうなんで書けませんでしたけど・・・」 えへへっと笑いながら空さんに答える私。 多分ゆるゆるの顔デス。 「・・・そっか。早く返信が来るといいね」 「あはは・・・」 あれ? 穏やかに微笑んでるけど、ほんの少しだけ寂しそうな顔。 どうしよう。 えーと、何か話題話題。 「あ、あの、空さんって創司くんのお母さんの親友なんですか?」 「そうだよ。親友というかそれ以上の関係というか。アタシが男だったら絶対、あの男なんかに渡さなかったのに・・・チッ」 今度は目に炎のようなモノが見えます。 あの男って・・・ええと、きっと創司くんのお父さんって事だよね・・・ 「え・・・と・・・」 この話題は続けない方がいいかも・・・ 「創司くんはいい男に育ったね」 「へ?」 「見た目は可愛いリクと顔だけはマトモな腐れ堕天使の子だから当然として、しっかりしてるし賢いし・・・まぁ、愛するリクの子だから当然なんだけど・・・あの男の性格を引き継いでたら安心して任せられないし・・・」 くされだてんし・・・ 相当の敵意を感じる気が。 いやいや、それよりも。 「空さんは本当にリクさんが好きなんですね」 パッと空さんの顔が輝く。 あぁ、本当に大好きなんだ。 性別とか関係なくてすごくすごく大事に思える人が居るっていいな。 「すいちゃんには妹さんが居るんだったよね」 「はい、藍っていう名前で今年6歳になります。姉の私が言うのも何ですが、すごく可愛いんですよ」 「うん、すいちゃん見てれば何となく想像できるよ。今は別れて暮らしているんでしょ・・・寂しい?」 「えぇ・・・でも秋には父と母と一緒にこっちに来る事になっているんで、それまで我慢です。こっちに来たら先ずぎゅっと抱き締めてあげたい。藍もきっと寂しい思いをしているはずだから」 いつも私の後ろを付いてくるアイちゃん。 私が1人で先に日本に行くと知って、一緒に行くと泣いたアイちゃん。 お父さんもお母さんも大好きだけど、それとは少し違う意味で大好きな妹。 「きょうだい」って多分、どんな形かは分からない繋がりがあるんじゃないかな。 「例え会う時間が少なくても・・・会った事がなくても、兄弟は特別だと思う?」 どうしたんだろう? 何か・・・あったのかな? 「はい、きょうだいは特別で大切なものだって、私は思います」 「そう・・・」と呟いて、空さんは独り言のように話し始めた。 「有希と望には歳の離れたきょうだいが居るんだ。一人は男で14歳、焔って名前。幼稚部の頃から世界中を短期留学してて滅多に家に居る事はないから、双子達の相手をしてる所なんて見た事ない。もう一人は・・・・ううん、ごめん、何でもない」 寂しそう? それとも、苦しそう? そう、さっきもだ。 メールの話の時もほんの少しだけ寂しそうな顔になった。 でも、その理由を聞く事はできない。 吐き出して楽になる事と余計に心を痛める事とあるから。 それだったら・・・ 「あ、あの、泊めて頂いたお礼と言っては変なんですけど・・・歌わせてくれませんか?」 「え?」 「歌っていっても歌詞はなくてメロディなんですけど・・・ええとええと、「歌声」で特待入学したくらいですから、それなりのハズです。これは結構自信あります。だから・・・」 私の気持ちが届いたのかな。 空さんは優しく微笑んで「お願い」と言ってくれた。 私とお母さんの歌声には不思議な能力がある。 その能力が発揮されるのは、お父さんの書いた曲だけになんだけど。 お父さんの曲には詞がない。 私達が歌うのはその曲に込められた想い。 私たちが歌うと、荒ぶる感情は抑えられ、傷ついた心は穏やかになる・・・らしい。 どうしてこんな能力があるのか分からない。 だけど、この能力が誰かの何かの役に立つのならば私は歌いたい。 今、空さんに歌いたいと思うように。 深く息を吸って歌い始める。 愛しい我が子を思う両親の歌。 お父さんとお母さんが私とアイちゃんの子守唄にした歌。 私は親になった事がないから、本当の意味でこの歌を歌うことはできない。 だけど、空さんは想いを受け取ってくれるはず。 空さんはお母さんだから。 家族のために帰る場所を作ってくれるお母さんだから。 「あ・・・」 歌い終わると空さんの頬に涙が伝っていた。 「・・・・・ありがとう、すいちゃん、ありがとう・・・」 そして、空さんに優しく抱き締められた私は、ふと、お母さんのベッドの中で一緒に寝ていた小さな頃を思い出した。 「ふぁぁ〜」 お風呂サイコー!! 泳げるくらいおっきい湯船(も、もちろん泳いでないよ!!)とかジェットバスとかもだけど、くせっ毛の私の髪がサラッサラになっちゃうマホーのようなステキシャンプーがっっ!! 東雲グループの系列の化粧品会社で発売される予定なんだって。 発売されたら買いマス!! 絶対買いマス!! ほかほか状態で部屋に戻り、ふと机の上を見ると携帯のウィンドウがピカピカと光っていた。 ちゃ、着信アリですか!? ドキドキしながら携帯を開くと、ブラウザに「新着メール 1件」の文字。 受信ボックス→メール選択・・・っと。
「かざまさん・・・?」 ・・・って読むのかな? 患者さんって同じ歳くらいの人だったんだ。 男の子かな、・・・・・女の子かな。 女の子だったら・・・ちょっとフクザツかも。 うー。 風眞さん・・・どんな人なのかなぁ? ベッドの上でコロコロしながらもう1回メールを読む。 「いちごみるく」みたいって・・・ 私って「ちっちゃくてまるくてさんかく」なの? この書き方だと可愛いっていっても子犬がチョコチョコしてるのを見て可愛いって言う感覚だよね。 コロコロを止めてボンヤリと天井を見上げる。 「私って、恋愛対象外なのかなぁ〜」 『人形みたい』 『親子みたい』 『いちごみるくみたい』 どの言葉にも親しみはあるけれど、『女の子』としては見てくれてない。 「でも、がんばろっと!」 おー!と高く拳を天井に伸ばし自分的頑張宣言。 恋する女の子はびっくりする位キレイになれるんだもん。 頑張れ、私! 忘れないよ。 忘れるわけないよ。 僕の世界はキミだから。 キミの居ない世界なんて意味がないから。 忘れないよ。 例え離れていても、キミを見つけてみせるから。 だから、キミも、 「忘れないで・・・」 目が覚めたら泣いていた。 久しぶりに見た夢。 「私」は誰かに抱かれて言葉を聞いていた。 夢なのに甘い花の香りに包まれて、「私」は泣いていた。 「忘れないで・・・」 「私」って誰なの? 忘れないも何も知らないよ。 私と「私」は違うよ。 私は私だもん。 そう自分に言い聞かせても、苦しい、切ない。 |
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