みずのきおく・2






お母さん、お父さん、アイちゃん、お元気ですか?
私は今、とっても沢山混乱中です・・・


「本当に悪かったって。学校に居る間に言えばよかったんだけど」
「いや・・・多分・・・学校で言われても・・・理解出来なかったと思われますです、はい」
ダンボール箱を家の中に運びこみ、ほっと一息でお茶の時間。
まぁ・・・実際は混乱中でほっと一息にならないわけですが。
「粋の父さんから連絡が来たのが、俺がアメリカを発つ日だったったからなぁ。返信を受け取って粋の所に連絡ってなると・・・・・まだ連絡が来てないだろうとは思っておりましたよ、ははは」
「ははは・・・」
ははははは〜〜って笑うしかないですよ。
・・・・・はて?


「どうして私のお父さんが北杜くんの事を知っているの?」
「俺の父さんと粋の父さんが古い友人なんだってさ。あ、そうだ。北杜くんって言い難いだろう?名前でいいよ。ちなみに名前は創司ね、憶えてた?」
な、名前で・・・ですか。
いきなりそんなの難しいんだけど。
「じゃあ、えーと・・・そ・・・創司くんのご両親は未だアメリカに居るの?」
「ああ、仕事の関係で秋にはこっちに帰ってくると思うけど、未だ当分あっちじゃないかな」
家の皆も9月に日本に来る予定だし、同じくらいなんだ。
「そっかぁ、じゃあ、夏いっぱいは一緒に暮らすんだ」
「そういう事になるな」
「そっかぁ、ははは〜〜・・・・・って」

何を考えているんですかい!両家ご両親!!

いっくら私がクォーターの割には幼児体系でちんちくりん(今時の女子高生が使う言葉じゃありません)で女性的魅力皆無(結構難しい言葉を知っています)だとしてもサ!
年頃の男女を1つ屋根の下に放置とは、どういう了見ですかい?!
「あ、そんなに気を使わなくてもいいから。家事全般は出来るからさ。自分の分は自分でやるよ」
「いやいや、そんなの効率悪いから一緒にやるとか当番制にするとか・・・」

って、おい。

何をフツーにこれからの生活相談してるんですか。
「粋がそれでいいならその方がいいな。アリガト」
うっはぁ!
そんなに爽やかに笑われると眩しくてマトモに顔を見られませんよぅ!
「じゃ、じゃあ早速、夕飯の準備をしようかな。何か食べたい物ある?意外かもしれないけど、お料理は自信あるんだ」
我ながら切り替えが早いな、と思いつつ。
料理は数少ない取り柄の1つだったりする。
家族の喜んでくれる顔を見るのが嬉しくて腕を磨いてしまったわけですよ。
「粋の作る料理は何でも美味いだろうから何でもいいよ」
「そ、そうデスカ・・・」
海外生活は長かったけど、人付き合いがあまりなかった上に同年代の男の子と話す機会があまりなかった私には、アメリカナイズされたサラリとした殺し文句(一般人にはそんな風には聞こえません)に撃沈なのですが。
「買い物があったら行って来るよ。重いものとかさ、遠慮しないで頼んじゃって下さいな」
「ありがとう、でも、買い物なら一緒に行こうよ。私も近所の事知りたいから」
「ん、じゃ、そうしましょ。着替えて・・・15分後、玄関に、でいい?」
「うん」
何だかなぁ。
流されるようにフツーに同居生活が開始しちゃってるんだけど。
・・・・・・ま、なるようになる・・・かな?





「むぅ」
着替えて・・・という言葉に何となく意識してしまう。
お父さん以外の男の人と出かけるなんて初めてなんだもん。
いや、例えそれが夕飯の買出しとかでもね。
で、でも、あんまり頑張った風な服を着てもおかしいし。
「むぅぅぅ・・・・あ!!」
アホだ。
悩んで悩んでもう直ぐ15分。
こんなんで待たせちゃダメだってばぁ〜!!


「お、お待たせ」
結局、手近にあった桜色のアンサンブルと小豆色のフレアスカートに。
手近にって段階であまり悩んだ意味ないね・・・
「時間通りだから待ってないよ」
創司くんは白いシャツに黒のパンツという超シンプルな格好だった。
シンプル故に素材のよさが引き立つといいますか何といいますか・・・
いいッス!かっこイイッス!!
「その服、似合ってるな。オンナノコらしくてカワイイよ、そうしてると人形みたいだ。」
「ふぇ?!え、あ・・・りがと・・・」
かぁっと顔が熱くなる。
今日は朝から何度こんな状態になっているのやら。
「じゃ、行きましょ。さてさて、今日のお買い得品は何かねぇ〜?」
そんな私の様子に気がつかないで、創司くんは自然に私の手を握って外に出る。
うひゃあ。



「いやぁ、あそこのスーパー安いなぁ」
「そうだね。野菜もお肉も新鮮だし、いいお店見つかってよかった」
お米やら重い野菜やらを持ってもらっちゃったから、私はほとんど手ぶら。
悪いなぁと思う反面、実際とっても有難い。
「こうして歩いてるとさ」
ふいに創司くんが話しかけてくる。
こうしてると・・・な、何だろ・・・
「親子みたいに見えるかな。仲良し親子。こんなにカワイイ娘さんがいたら、父さん毎日だって連れて歩いちゃいますよ」
「親・・・子・・・」
今、ちょっとだけショックだったかも。
親子・・・か・・・
私、やっぱり子供っぽいんだろうなぁ。
創司くんにはもっとオトナっぽくて綺麗でこんなに身長差がない女の人がお似合いだよね。
私じゃ・・・全然・・・って。
何でこんな事気にしてるんだろう?
まさか、まさか、ひょっとして・・・私・・・


「あの子供達カワイイな」
「ん?あ、あの子達・・・」
この前、桜の下で見た双子ちゃんだ。
仲良く手を繋いで・・・可愛いなぁ。
あ、こっち向いた!
声かけてみよっと。
「こんにちは」

「「こんにちは」」

ハモった〜!!超かわいぃ〜!!
「この近くに住んでいるのかな?」
2人は同時に縦に首を振った。
めっちゃくちゃかわゆい・・・
「ユーキ、ノゾム、ちょっとそこで待っててー」

「「はぁ〜い」」

2人の後ろから声をかける女の人。
お母さんかな?
近づいてきたその人は、くしゃくしゃっと2人の頭を撫でてから私達の方を見た。
「こ、こんにちは。あの・・・可愛いお子さんですね」
「ありがとう」
にこっと微笑むと益々思うけど・・・
むっちゃくちゃ完璧美女だぁ!!
モデルさん並に長身でスタイル抜群。(スレンダーなのに出る所は出てるし)
サラサラとした栗色の髪はキューティクルの天使の輪がキラリ。
長い睫の下の翠の瞳は宝石のように澄んでいて・・・


ふと創司くんの顔を見ると、複雑な表情でその女の人を見つめていた。
「創司くん?」
「創司・・・?」
すっと女の人が創司くんを見上げる。
女の人と創司くんの視線が絡み合い、不思議な雰囲気がその場に流れるのが分かった。

「「おかーさん」」

女の人は子供達の声にハッとした顔をして、2人の手を握って会釈をして去って行った。
今のは何・・・だったのかな・・・


「綺麗な人だったね。ひょっとして創司くんのタイプだったりする?」
冗談交じりに尋ねると曖昧に笑って。
「ん・・・そう・・・だな」
肯定。
ズキンと胸が痛む。
嫌だなぁ。
いくらニブニブの私でも分かっちゃった。
私、多分、創司くんに、

恋、しちゃったんだ・・・









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