海へ行こう、リターンズ!【2】





「…………」
「ボーっとしてますけど暑いんですか?ちゃんとつばの広い帽子を被った方がいいですよ」
「プルートくんはホリーさんの水着姿に見とれちゃってるのよぅ♪ねー?」
「い、いえ……あの……」
標準の女の子以上に可愛らしい顔でモジモジと恥ずかしがるプルートを見るのがメールディアにとっては楽しくて仕方がないらしい。
「……あまり若い子で遊ぶのはよそうよ、メーデ。プルートくんが気の毒だから」
「えー、超楽しいのにぃ〜!」
あははと笑っていたシイラはホリーの姿を見るとガクーンと肩を落とし呟いた。
「あう……ホリーさん……お仲間だと思っていたのに……」
「シイラさん??……どう……なさったんでしょうか……?」



「ほぇ〜〜!!ほりーしゃん、ぼよーん!でめるしゃんとおなじです!!おかしゃまはぽよんだけどおとしゃまはしょのほうがだ………もごもご………!?」
ルナソルの口を塞ぎアースは深く深く溜息をついた。
幸いホリーには聞こえていなかったようだ。
「そういう事は大きい声で言っちゃダメ」
「も、もごもご………もふぇ〜」
「どうしました、アースさん、ルナソルさん?」
「何でもないですっ!あ、えと、シイラさん、早速ですけど海に行きませんか?お母さんとホリーさん達はごゆっくりっっ!!」
大人達がポカンとしている間にアースはシイラの手を引き、ルナソルの口を塞いだまま海に向かって駆けだした。



「アースさん、実は泳ぐのを楽しみにしていたのでしょうか。あんなに急いで……」
「そ、そうなの……かしらねぇ?えーと……私もヤボ用があるから2人で遊んでらっしゃい。プルートくん、頑張ってねん♪」
ウフフッと楽しそうに笑うとメールディアはアース達とは逆側の浜辺を歩いて行った。
「頑張れって……」
「頑張って泳げるようにとの激励でしょうか」
「いや……多分、違う……っていうか僕は泳げ……」
「しかし、頑張っても出来ない事というものは残念ながらあります」
「あ?うん、あれ??もしかして僕が泳げないって……」
「知ってますよ。当然じゃないですか。それでも折角海に来たのですから私達の出来る限り楽しみましょう」
「当然って……僕は泳げ……」
「波打ち際に行ってみましょうか。珍しい物がうちあげられているかもしれませんしね」
何やら言おうとしていたプルートだったが、水着ホリーに手首をつかまれた瞬間全てが『無』になった。
否、『無』というか『桃』になった。



「行きましょう」
「は、はひ!!」
その時、目の錯覚ではなくプルートの足は地から離れていた。







「むっふふふふ ラ☆ヴの空気が漂ってる〜
「シイラさん……」
「おかしゃま、なにたのしいですか?」
準備体操をしながら変な風に笑うシイラを見てルナソルは首を捻った。
「え?楽しそう?そうかな?」
「たのししょうです。むーひゅーひゅーひゅーってわらってます」
「………そんな怪しい笑い方はしてないってば。きっと海に来れたのが嬉しかったんだよ。そうでしょう?」
「ほぇっ!?あ、うん、そんな感じ!!」
まさかプルートの『小さな恋のものがたり』を見てニヤニヤしていたとは恥ずかしくて言えず、シイラは誤魔化すように笑った。



「おかしゃまおよぐのだいすきだもんねー」
「うんうん。よぉっし、準備体操しっかりやったし泳ごう!!」
「あい!」
「はい」
人の恋路を見守るのも楽しいけれど海に来たなら泳がないとネ♪という考えに動かされ、シイラはお子様達を連れ海へゴーゴー!!と元気よく水に足を入れた。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆




「ひやぁ〜!!つめたいねぇ!!」
「うん、冷たい」
「本当だ。今年の海の水はいつもより冷たいかも……」
海に入って第一の感想は「冷たい」だった。
まるで氷水のような冷たさだったのだ。
「ねぇねぇアース、あしじんじんするよぉ」
「………ルー、シイラさん、一度浜辺に戻りませんか?」
「あいー」
「そうだね。2人にはちょっと冷た過ぎるかもしれないもんね」
「……………もしかして、シイラさんは全然何ともないんですか?」
「え?うん。水だし」
「水だし………?」
アースも段々と冷たさで足がしびれてきたというのにシイラは平然としている。
この口ぶりでは水という分子が液体である限りケロリとしていそうだ。



「ルーにはつめたくておよげましぇん……」
「僕にもちょっと無理かなぁ」
「子供の方が体温高いから余計冷たく感じちゃうのかなぁ?風邪ひくといけないから今日は浜辺で遊ぶ事にしようか」
子供だからという理由でもないような……とか思いながらアースはよい子のお手本のようにコクリと頷いた。
「あい。ねぇねぇアース、なにしてあしょぶ?」
「うーん……綺麗な貝殻でも探そうか。お父さん達のお土産になるし」
「いいねぇ、私も頑張って探しちゃおう!」
「ルーも!ルーも!」
張り切りモードになった母娘とアースは浜辺で綺麗な貝殻探そう大会を始めた。



「皆さんどうしたのでしょう?シイラさんは泳ぐのをとても楽しみにしていると聞いていましたが…」
「うーん……ブレイズ家のプライベートビーチにまさか変な………ないないっ!それはないっ!!」
ホリーの表情がドドーンと暗くなったのを見ると、プルートはすぐさま自分の言おうとしていた言葉を否定した。
「……気をつかわなくてもいいんですよ。海ですものね……絶対ないとは言えませんよね……」
「だ、だだっ、大丈夫だよ!なんならボクが先に行って見て来てあげるっっ!」
「プルート………って、貴方も泳げないのに………」
海に向かって爆走していったプルートにホリーは小さく溜息をついた。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆




「ねぇねぇアース、まっかなかいだよ!」
「本当だ、珍しいね。ルーのお父さんにお土産にしたら?」
「しょだねー!ほぇ??ぷーしゃんひとりでおよぐのかなぁ?」
「それはないよ。だってプルートさんは泳げ………え?!」
ルナソルが指さす方向に目をやり、アースは2度3度と瞬きした。
泳げないはずのプルートが海の中でヘンテコな動きをしていたのだ。



「あれ〜?プルートくんってばどうしたんだろ?ホリーさんを1人残して海で遊ぶなんてダメだなぁ………って、んん?!」
「………溺れてるように見えるんですが」
「ひゃぁ!たいへんだよ!!おかしゃま、おかしゃま!!」
「任されましたっ!2人は此処に居てね!」
「はい」
「あい!」
のほんとした顔をキリッとさせてシイラはスイスイ〜ッと海を泳いでいった。



その少し前、プルートは…



「ホリーってばアレがトラウマで水に入るのが嫌なんだろうなぁ………って、冷たっっ!!何?この冷たさ!!」
海に踏み込んで数歩、プルートはあまりの水の冷たさに思わず漫画のように高く飛び上がった。
「だからシイラさん達は泳いでなかったのか……っつーか、マジしゃれになんないから浜に戻ろっっっ?!ん??………う、うわぁぁぁぁ!!」
足裏に『ぶにっ』と感じたその直ぐ後、プルートの右足がズンッと重くなり態勢が大きく崩れた。
そして、水深僅か数十cmで溺れるという事態に発展したのだった。
哀れプルート、その運命や如何に…









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