うみへいこう!(子世代編)








8の月、赤の月の8日
ブレイズ家 客間

「ねぇ、アーシュ、うみってみたことある?」
銀髪の女の子は隣で静かに冷たい麦茶を飲んでいる金色がかった銀髪の男の子にたずねた。
「・・・・・ほんでなら」
「ルーもね、えほんでしかみたことないのよ」
「・・・・・・・」
「うみってね、ひろくておおきくて、おみじゅがしょっぱくておしゃかながたーくしゃんいるんだって!!」
「うん・・・・・」
「でもね、おみじゅがしょっぱかったらおしゃかなしゃんのどかわかないのかなぁ?ルーね、しょっぱいものいっぱいたべたらのどかわいちゃうよっておかしゃまにおしえてもらったのよ」
「・・・・・・・」


女の子の話はあっちこっちに脱線する。
それはいつもの事で慣れている。
そして、彼女の断片的な話を繋ぎ合わせて本筋を理解するのにも慣れている。
女の子の相手をしている間に未だ5歳の男の子は精神年齢だけは何倍も成長してしまったようだ・・・


「でね、うみはざぶざぶーってうごいててね、おてがみがはいったびんとかはこんでくるんだって!!」
「・・・・・・うん」
「あとね、うみとじめんのあいだにきれいなものがおちてたりするんだって!!」
「・・・・・・そう」
「んとね、それでね・・・・・」
「・・・・・ルー、うみにいきたいの?」
「うんっ!!」
キラキラキラキラ〜★☆★☆〜★☆★☆〜★☆★☆〜★☆★☆
リアルに星が飛ぶ★飛ぶ☆な美少女天使の微笑み。
この笑顔でお願いされて心が動かない人がいるであろうかいやいない(反語)。
男の子は小さく溜息をつくと女の子の手をとり外へ出て行った。







8の月、赤の月の10日
魔道院 ファルシエール執務室

「次、次、次・・・・」
「はいはい」
「終わらない仕事なんかないんだ頑張れ僕頑張れ・・・」
「はいはい」
「逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ・・・・・・・・・・・・・・・逃げてもいいか」
「ダメに決まってるでしょ」


ズゥゥーーーーン!!


新緑の髪の美女の緑柱石の瞳が輝くと、栗色の髪(前髪だけ緋色)の超絶美青年の背後に緑色の雷が落ちた。
因みにその威力は殺る気充分。


「今日は休日でしょ?ここまで必死に仕事しなくてもいいはずだよ」
「必死にやらなくていいなら好き好んで休日になんて出勤しません」
ごもっとも。



どんなに大量の仕事があっても定時には終わらせて帰宅、 休日は家族と過ごす日ですが何か?という彼・・・ファルシエールが休日出勤しなければならない程、今朝は問題が大発生してしまったのだ。


多くの世界の繋ぎ目にあるこの世界・・・門の世界は、他の世界の影響を受ける場合がある。
今朝はたまたま3つ程の世界に歪みが生じてしまった為に、あっちこっちで異常気象やら異世界の生物が発生やらがドドっと起きてしまったのだ。



幸いな事に怪我人はなく、治療院に所属している愛妻は急な仕事に呼ばれる事はなかった。
しかし、歪みの修正の主担当である魔道院の、しかもトップクラスに在籍しているファルシエールとメールディアは強制的に出勤を要請されてしまったのだった。



「今日は・・・今日はシイラとルナソルと一緒に海に行く予定だったのに。2人には超可愛い水着を用意してたのに。2人とも「海の妖精さんですか?え?!違うの!?いや・・・あまりに海は君達の為にあるって程可愛かったから・・・」ってくらい可愛いんだよ、絶対。で、ルナソルを抱っこして歩いてるとシイラはピタっと腕に寄り添ってくるんだ。水着で密着!!「久しぶりに恋人気分で・・・楽しみたいな・・・?」って、うっわ・・・やばい・・・これ以上は僕の理性が・・・」
「桃色妄想劇場は閉幕させてとっとと仕事をや・り・や・が・れ!!!!」




ドガァァァァーーーーン!!




頭の中の一部が腐っていてもとりあえずは火聖神。
破壊力と殺傷力抜群の雷を魔力で相殺させると、次から次へと持ち込まれる報告書の処理をし始めた。
「・・・・・はぁ」
少し乱れた髪を直して自分の仕事に手をつけ始めるメールディア。


― シイラ達、今頃どうしているかしら? ―







同日 同時刻
ブレイズ家 プライベートビーチ

「アーシュ、アーシュ、うみだよぉー!!」
小さな手で万歳をし、紫水晶の瞳をキラキラ輝かせて喜ぶ女の子・・・ルナソル。
「・・・・・・うん」
ルナソルが興奮のあまり予想外の行動を取らないかと内心ハラハラの男の子・・・アース。


「海は逃げないから安心しろって。1人で走って行っちゃ危ないから、ちゃんと手を繋いでいるんだぞ?」
「あいっ!!みぎてはアーシュとひだりてはおとーしゃんとつなぐのー」
「お母さんは?」
「おかしゃまはアーシュとつなぐのよ?みーんなでなかよししゅるのよ」
ニコニコと笑うお母さん・・・シイラとルナソル。
傍から見れば仲良し親子4人組。
その誤解を招くだけでもファルシエールに何かされそうだと遠い目をするおとーしゃん・・・サイ。


サ行の発音が上手く出来ないルナソルは「サイさん」と言えない。
そこでアースを真似してサイを「おとーしゃん」と呼び始めてしまった。
流石にそりゃマズいだろうと何度か名前を呼ぶ練習をしてみたものの、「しゃいしゃん」と言って舌を噛んで半泣きになって以来周囲は「もうこれでいいや」になってしまったのだ。
何とも・・・
因みにメールディアの事は「めるしゃん」と呼んでいる。


「まだ呼ばれ方に慣れないの?」
「慣れないでしょうよ、フツー」
「でも、将来どうせ呼ばれるようになるんだから今からでも別に構わないよねぇ、ルナソル?」
「あいっ!」
「・・・・・いみがわからないのに、かんたんにへんじしちゃだめ」
意味が分かる方もどうかと・・・と顔を見合わせ笑う大人達と、顔を赤くして下を向くアース。
「ルー、へんじしたらいけなかったの?ごめんね、アーシュ・・・」
「いけなくは・・・ない。おとうさんがわるい・・・」
「えぇっっ!!??」
突然矛先が自分に向き驚くサイ。
「おとーしゃんがわるいの?めーなの!」
「あ・・・・・はい、ごめんなさい」
頬を膨らませて「めーなの!」なんて言われたら、こちらに非はなかろうが謝っておくしかない。
後が怖すぎるから・・・







「シイラルナソル今行くからね待っててね・・・ちくしょうこんなに面倒起こしやがって何処の世界だよ門の世界と切り離してやろうか・・・やってやるやってやれないことはないヤルヤル殺る・・・・・」
「物騒な事を言ってんじゃないわよ。ようやく追加されてくる報告書の量が減ってきたんだから、もう少し頑張りなさい」
優秀な2人の滅多に見られない本気の力は、無限に続きそうだった作業に終わりの光を見せ始めていた。


「失礼します、火聖神様、風聖神様。至急、鏡の湖へお向い下さい」
「何・・・・・?」
大した用事じゃなかったら唯じゃ済まさねぇぞコノヤロウ的目つきに凍る可哀想な下っ端(男)。
「・・・・・私達が派遣される程の問題が起きたの?」
コクコクと無言で頷く下っ端。
「次から次へと・・・ほら、行くわよ!」
「ヤッテヤル・・・ボクのジャマするヤツはケシズミにシテヤル・・・」
問題の内容は分かっていないのに壁にかかった愛用の剣を手に取ってニヤリと笑うファルシエール。
半日で蓄積したストレスを発散させる気満々。


「湖の件は任されました、伝言を有難う。私達が居ない間の報告書は火聖司長と風聖司長にまわすように、いいわね?」
再びコクコクと頷く下っ端。
氷の鉄仮面美女の天然記念物的微笑にノックアウト寸前。
余談だが、彼は後に『風聖神様に微笑まれ隊』の隊長になるとか。






鏡の湖
普段はその名前のように静かに周りの景色を映す湖面は波立ち、周囲の空気はピリピリと張り詰めていた。
「異世界からのお客さんみたいね」
「上等ダ、相手シテヤル・・・」
未だ相手が現れてもいないのに剣を抜き、その刀身に炎を纏わせる。
殺る気満々。
「マトモに相手をしたら過剰防衛になるでしょうが」
「生カサズ、殺サズ、生殺シ・・・」
「ま、相手の出方次第だけど・・・・・・来るわよ」
大小2枚の光の刃がついた純白の大鎌を召喚すると、メールディアは戦闘の態勢をとった。







「アーシュ、アーシュ!!うみ、じゃぶじゃぶだよぉー!!」
「・・・・・あぶないから、ひとりでいっちゃだめ・・・」
「あいっ!!」
トコトコとアースに駆け寄るとルナソルはピッタリと彼の腕にくっついた。


「幼児だから許されんだよなぁ・・・もう少し大きくなってあんな所をファルに見られたら・・・・・・あぁ、何だか己に振りかかるであろう火の粉を想像したら恐ろしくなってきた・・・」
「どうしたの、サイ?あ、2人とももう波打ち際まで行ってるんだ」
「俺達の防御魔法が破られる事はまずないし、アースに任せておけば大事は起こらないから」
「そだね」
火聖神と風聖神が最強の矛ならば、水聖神と地聖神は最強の盾。
朝から世界の歪みがどうのこうの言ってワサワサしているにも関わらずノホホンとお出かけが出来るのは、彼らが居れば周囲の環境は安全だし、万が一の場合でもサイが「本気」になれば子供達とシイラが危険になる事はないからだ。



「ところで、可愛い水着ですな。何気に親子でお揃い風なんだ、似合ってるよ」
ルナソルはワンピースの白い水着。裾がスカートになっていて、そこの部分と胸元のリボンが青のグラデーションの柔らかい布で作られている。
シイラはセパレートの白い水着。胸元に飾りで付いた布とパレオが青のグラデーションになっている。
「ありがとう、この水着ね、ファルが用意してくれたんだよ」


― うん、何となく分かってたヨ・・・ ―


彼女達のイメージに合わせた色とデザイン。
っていうか、あえてメインの色を白にする辺りが脳内桃色美青年の脳内桃色たる所以。
プライベートビーチで『 視 福 』とか思いながら楽しい時間を過ごしたかったんだろうなぁと思うと、現在この親子と共にいる自分に対するファルシエールの感情まで想像して背筋に冷たい汗が流れるサイ。
哀しいくらいに苦労症体質。


「俺は荷物の番と皆の護衛をしてるからさ、シイラは泳いできなさいな。泳ぐの久しぶりだから楽しみなんじゃないのか?」
「えへへ、実はね。それじゃあ、お言葉に甘えて。子供達に泳ぎを教えてあげよっと」
パレオを外してポテポテと海に向かうシイラ。
そのノンビリで運痴な走り方からは想像出来ない程、泳ぎだけは水の中の生物並に得意だったりする。
「・・・・・さて、何も起きないといいけど・・・」



■□■□■□■□■




「おかしゃま、しゅごいねー」
「およぐの・・・じょうず・・・」
「・・・・・・ぷはぁ。じゃあ2人共、水に顔をつける所から始めようか」
ほのぼの水泳教室。
小さな手を握ってゆっくりと海の中を歩く。
穏やかな波の上で漂うように浮く。
そして。


「おかーしゃま、アーシュ!!おしゃかなしゃん、おしゃかなしゃん!!」
「きれい・・・だね・・・」
銀色の小魚の群れ。
赤や桃色のサンゴ。
海藻の間から顔を覗かせるオレンジ色の魚。
陸上とは又違う色の世界。


「本当に綺麗ね・・・・・ん?」
「どうしたの?」
「今・・・見慣れない生き物が居たような・・・・・?」
「・・・・・・シイラさん、そろそろはまべにいきませんか?みずのなかっていがいにたいりょくをつかうから、ルーをやすませてあげたほうがいいとおもいます」
「あ、そうだね。ルナソル、サイの所に行っておやつにしようか」
「あいっ!!」
ふいよふいよと浜辺に戻る3人の後ろを、ユラリと謎の生き物がついて行くのに気がつく者は居なかった・・・







「ちっ・・・・・雑魚が・・・・・」
「はいはい、お疲れ様」
鏡の湖周辺に現れた異世界の生物達は、暴走した魔力を使い果たしそれぞれの世界へと強制送還された。
「他の場所は大丈夫かな、僕達の力が必要な程の歪みは感じられないけど・・・」
「ええ・・・・・・大丈夫みたい。そろそろこの異常現象も収束しそうね」
「じゃあ、僕は海に行っても・・・」
「いいわけないでしょ。ほら、さっさと戻って残りの仕事するわよ!」


転移魔法を発動しようとメールディアが意識を集中し始めると、ファルシエールは彼女の腕を掴んだ。
「何?」
「・・・・・・泣いてる」
「え?」
「ルナソルが・・・・・泣いてる・・・・」
「・・・・・・」
今日初めて見る真剣な顔からいって幻聴ではないだろう。
メールディアは急いで探索の能力を研ぎ澄まし、ルナソルの声を拾い上げた。




『うぇぇぇん・・・・・うぇぇぇん・・・・』




小さな女の子の泣き声。
確かにルナソルが泣いている。
「サイが居るのに・・・どうして・・・」
「・・・・・・・」
「あ、こら、待ちなさい!!状況を確認するから・・・・・・・って、はぁ」
メールディアは溜息をつくとファルシエールを追って転移魔法を発動させた。







「俺様の可愛い娘を泣かすのは何処のどいつだぁ!!!」





鬼 神 降 臨





「そう、ゆっくり・・・ゆっくり・・・うん、もう大丈夫」
「っ・・・う・・・・う・・・・」
「よく我慢したね、直ぐに治してあげるからね」
「・・・なかないで・・・」
「なかない・・・もん・・・だいじょぶ・・・だもん」
サイに抱きかかえられて海から出てくるルナソルと、優しく声を掛けるシイラと心配そうに見守るアース。


「・・・・・・??」


「はい、もう痛くない?」
「いたくないよ、ありがと、おかしゃま。あっ!おとしゃま!!!」
怒りの行き場を失い呆然としているファルシエールにキラキラ笑顔で手を振るルナソル。


復 活。


「ルナソル―、泣いたりしてどうしたの?お父さん心配・・・・・」
娘に負けないキラキラ笑顔で近づくファルシエール。
その歩みが4人の手前5メートルでピタリと止まった。


「・・・・・・・」
サイに抱っこされてるルナソル。(水着で密着)
ルナソルを治療する為にサイに寄り添うシイラ。(水着で密着)


「・・・・・ルー、ジュースのみにいこう。シイラさん、にもつをあけてもいいですか?」
「あいっ!」
「うん、あ、私も一緒に行くよ」
不穏な空気を誰よりも早く察知して、女性陣を避難させる出来た幼児。
別視点から見れば、厄介事を父親に押しつけて退散する出来た幼児。



「さて・・・・・色々と説明して頂きましょうか・・・・・」
「あ・・・・・・・・・はい・・・・・・・・」



■□■□■□■□■




「めるしゃん、こんにちは!!」
「おかあさん・・・・・」
「こんにちは、ルナちゃん。泣いたりしてどうしたのかしら?」
「んとね、くらげしゃんがルーにぶつかってぴとーってくっついたらね、あかくなっていたくてないちゃったのよ」
「くらげしゃん・・・・?」
聞きなれない言葉に首を傾げるメールディア。
「くらげっていう異世界の海の生き物なの。未だ海の中に居ると思うから見てみる?」
「ええ・・・・・」
異世界の生き物。
サイとシイラの防御魔法を無視して侵入出来るなんて相当魔力が強い生き物?
それにしては変な魔力を感じないし、子供達もシイラも警戒していない。
とりあえずいつでも皆を守れる準備だけをしてメールディアは3人と海へ近づいて行った。



■□■□■□■□■




「ふーん・・・・・この生モノが可愛いルナソルの柔肌を傷付けたんだ・・・」
ふいよふいよと波間を漂う半透明の物体に凍てつく視線を向けるファルシエール。
「いや・・・・・くらげも悪気があったわけじゃ・・・っていうか、コイツら何かを考えたりしねぇし・・・」
「で、一体どうしてこんなモノがここに居るの?防御魔法が失敗してたなーんて理由だったら怒っちゃうけど・・・いーい?」
「怒ってる・・・怒ってるよね?もう、背中から怒気やら殺気やらバンバンに放出されてるよね??」
「えぇ〜?未だ全〜然怒ってないよぉ〜?僕が本気で怒っちゃったらここの浜辺が干上がっちゃうしぃ〜」
「うん、そうだよね。もう、この辺りの気温が5℃くらい上昇してるよね・・・」
「で、どうしようか、この生モノ。水気とか抜いとく?」
「水気抜いたら死んじゃいますよ・・・・・」





「くらげしゃんいたー」
「ほら、あの半透明のゼリーみたいなやつだよ」
「あれが・・・?」
がやがやと女性陣と子供達が近づいてくると、ドヨドヨと周囲を渦巻く怒りの魔力はプシューーっとファルシエールの中に吸い込まれていった。


「ルナソル、危ないからこっちに近づいちゃダメだよ?」
ひょいっと娘の身体を抱き上げると、娘はパタパタと手足を動かして嫌々をした。
「くらげしゃんあぶなくないのよ?くらげしゃんわるくないのよ?」
「ルナソル・・・」
「ちゃんと説明してもらえる?」
事情をイマイチ理解出来ていないメールディアは、娘に嫌々をされてショックを受けている美青年の存在をとりあえず無視してサイに話しかけた。
「ああ・・・・・」



ルナソルを泣かせた原因はクラゲという異世界の海の生き物。
海の中を海流に乗ってふよふよと漂い、知能は低い。
クラゲには多くの種類があるが、大体のものは触手から毒を発する。
その毒は種類によって非常に異なるために注意が必要。



「こっちの世界に迷い込んでフヨフヨしてたらルナにぶつかって毒がささったんだ。毒っていっても肌にミミズバレが出来て痛くなる程度だったから未だよかったよ。ルナには可哀想な事したけど・・・」
「何で防御魔法が効かなかったのかしら?」
「・・・・・弱過ぎて魔法が効かなかったんだ」
「あぁ・・・・」
防御魔法の対象は強大な魔力を持ったモノや暴力的なモノ。
無力なクラゲには効果が現れなかったのだ。



「おとしゃま、くらげしゃんまいごなんだって。おうちにかえしてあげて?」
「ルナソルはくらげに怒っていないの?」
「どうしておこるの?くらげしゃんはルーにぶつかっちゃっただけなのよ?びっくりしてちくっとさしちゃったのよ。ルーもびっくりしていたくてないちゃったけどもうだいじょうぶなの」
「ルナソル・・・・」
地上に天使が居るとしたらこの子の事じゃないだろうか・・・と思わせる優しい言葉に思わず感激するファルシエール。
ついさっきまで「くらげしゃん」の水気を抜いてやろうかとか言ってたくせに・・・







「ただいま・・・・・」
「おかえりなさい、お仕事お疲れ様」
デスクワークやら現場処理やら何やかやで実際問題お疲れな1日だったものの、愛妻の優しい笑顔に一瞬にして癒される単細胞生物。
「ルナソルは?」
「今日はこっちの家でアースと一緒に寝てるよ」
「そう・・・」


事故のようなものだったとはいえ、大切な半身にだけ痛みを負わせ泣かせてしまった事にアースはショックを受けていたようだ。
「アースね、あの後からずっとルナソルの手を握っているの」
「未だ小さくても守れなかったのが悔しくて辛いって思ってるんだろうね」
すやすやと小さく寝息をたてる子供達の寝顔を眺め、そっと微笑む2人。



「そうだ、お土産があるの。はい、これ」
「ん・・・・?」
手渡されたのは小さな桜色の貝殻。
「ルナソルがね、幾つもある中から一番綺麗だと思って選んだ貝殻なの。今度は一緒に貝殻を探すのよって言ってたから、一緒に探してあげてね?」
「勿論、シイラも一緒にね」



■□■□■□■□■




後日

「わぁぁぁ、くらげしゃんだぁ!!」
「こんどのは・・・どくがうすいから・・・さわってもへいき・・・」
「あの後、毒の薄いクラゲを調べて召喚契約をしてたのね」
「流石、天才児・・・」


「なんでみんなくらげにむちゅうなんだあんなのぷよぷよふわふわしてるだけなのになにもかんがえてないのにみずぬいたらかりかりになっちゃうのになんでなんでなんで・・・」
「・・・・・・・うん、そうだネ」
ざりざりと白い砂浜を掘る美青年が異常行動を取らぬように見守る苦労人。
彼もクラゲを愛でたいであろうに。
合掌。


「ぷよぷよしてるよ?かぁいいねぇ?」
「あまり・・・みずからだしちゃ・・・だめ・・・」
「あいっ!アーシュ、しゅごいねぇ?だいしゅきー!!」
「あまり・・・くっついちゃ・・・だめ・・・」





梅凪さまから頂いたイメージイラストは コチラ から。カワユ過ぎです!!








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